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博士の愛した映画

テッド

クリスマス、8歳のジョンがにプレゼントのクマのぬいぐるみテッドと本当に話せたらと星に願い、テッドに命が吹き込まれてから27年後・・・。

愛くるしいクマのぬいぐるみの姿からは想像もできないエロオヤジなテッドの毒舌と下ネタが1つの見どころ。

しかし、テッドの世界観が新鮮で面白いのは、テッドが一躍有名かつセレブになり、その後すでに飽きられて、27年後には社会にごく普通に溶け込んでいるおかしさ。

冒頭、テッドと同様に若くして有名になってその後・・・的な例として語られる、「スタンド・バイ・ミー」「グーニーズ」でおなじみのコリー・フェルドマンの名前に、かなりウケたのと同時に作品への期待が膨む。

主人公ジョンは、自分と同じ35歳。 その期待通り、同じ時代を映画を観て成長してきた自分としては、テッドがかますブラックジョークは、ハマる映画ネタのオンパレード! テッドと一緒に28年間の時を過ごしてきた気がして、なんだか嬉しい。

フラッシュ・ゴードン」「グリーン・ランタン」「トップガン」などのご本人登場ネタ、「スター・ウォーズ」「ET」のコスプレネタ、「エイリアン2」「インディ・ジョーンズ」「ファイトクラブ」「007/オクトパシー」「きみに読む物語」「愛と青春の旅だち」「サタデー・ナイト・フィーバー」「ブリジット・ジョーンズの日記」「ジャックとジル」「スーパーマン リターンズ」などなど名作から迷作まで盛りだくさん。

また映画ネタにとどまらず、「ナイトライダー」「アルフ」「アーノルド坊やは人気者」など往年のTVネタも満載で、実に懐かしい。

下ネタはここではあえて触れずに映画で観てもらうとして、映画ネタの中でも個人的に大笑いしたのは、「ベーダーマーチ」と「ナイトライダー」の着信音、「エイリアン2」のビショップ、そして「トワイライト」シリーズで有名なテイラー・ロートナーのネタ。

主人公ジョンを演じるのは、マーク・ウォールバーグ。 アクションものが多かったが、最近は「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」などコメディにも出演。 マッチョで一見頼りがいありそうだが、人のいい純粋さと成長しきれていない主人公のイメージにはまっていた。 本当は存在しないテッドとのケンカの1人演技では、「ファイトクラブ」のワンシーンを彷彿とさせる。

ジョンの彼女ロリーを演じるのは、ミラ・クニス。 テッドとのありえない暮らしをしてきたジョンを受け入れつつ、二人の将来を真剣に考える姿は、フランクかつシリアス。 「ステイ・フレンズ」のかざらない雰囲気や「ブラック・スワン」でもみせたシリアスさのバランスがいい。

パブリック・エネミーズ」でジョニー・デップが夢中になり、「ラム・ダイアリー」でも共演し個性的な役を演じていたジョヴァンニ・リビシ。 本作でも、コメディ作品の中一人彼がサイコな役をシリアスに演じていて、後半の意外な展開をみせてくれる。

そして、こういうおバカ映画にかかせないのが、ゲストやカメオ出演の俳優達。 この作品でも、ノラ・ジョーンズサム・ジョーンズライアン・レイノルズトム・スケリットと登場シーンも大なり小なり様々で面白い。 他にもテイラー・ロートナージェームズ・フランコスーザン・ボイルジャスティン・ビーバーなど旬な有名人のブラック・ジョークが満載です。

大人になりきれていないジョン、雷兄弟のエロオヤジなテッド、二人の将来に悩むロリー。 友情と愛情の間でお互いの関係を見つめ直し、責任ある大人として1つ成長していく過程は、単なる中身のないコメディとは違う作品に仕上がっている。

R15の下ネタだけでも楽しめますが、映画好きなR35ならもっと笑えて楽しめる作品です。