Dr.Cinema

博士の愛した映画

LOOPER/ルーパー

現在に送られてきた未来の自分と対峙するSFアクションドラマ。

未来から送られてくる人を殺処分するルーパーという職業。 そして、最終的には未来の自分が送り込まれ、未来の自分を殺すことを「ループを閉じる」と言う。

ストーリーは、タイムマシンものなので話が複雑になりがちだが、ブルース・ウィリスの強引なキャラによる説明で、「そんなこと気にするな」と一定のルールを築いているので比較的わかりやすい。

前半は、現在と未来の主人公によるSFアクションが中心。

「(500)日のサマー」や「50/50」の華奢で繊細なイメージや「インセプション」のクールなイメージが多い今までのジョゼフ・ゴードン=レビットとは違い、男臭い役柄はとても新鮮。

少しメイクもしているが、目を細めたり、眉をひそめたりする仕草は、ブルース・ウィリスを感じさせてくれる。 髪の生え際を何気に気にしたり、剥げていくくだりはちょっと笑える。

ブルース・ウィリスは、まさにそのままブルース。 若い頃のジョンがラッパ銃を使うのに対し、ダイハードの新作も公開を控えているが、やはりマシンガンがよく似合う。

後半は、「AKIRA」や「クロニクル」などの近未来の世界観や「ターミネーター」的要素が感じられる。

そして、エミリー・ブラント演じる息子を守る母親の苦悩や、彼女たちと過ごす中で刹那的に生きてきた主人公の心の変化などの人間ドラマ要素がが描かれる点を評価したい。

「妻を愛する夫」、「息子を愛する母親」。 それぞれが自己中心的な愛をつらぬく中で、「悲しみのループ」を閉じる行動をおこした主人公は、まさに真のルーパーといえる。

SFアクションにとどまらない、未来の自分と対峙することで自己を見つめ直す作品でした。