Dr.Cinema

博士の愛した映画

96時間/リベンジ

前作は、パリで誘拐された娘の救出のため、無敵の親父ブライアンが猪突猛進、冷徹無比、容赦ない姿が印象的だったが、今回の舞台はイスタンブール。そして、自分と元妻が誘拐される。

誘拐される立場は違うものの、電話でのこれから誘拐される旨の娘への告知は、今回もありこのシリーズの1つの見せ所。 誘拐されても、冷静さ、用意周到さや判断能力は健在で、監禁状態での作戦と娘への的確な指示は見事。

その無敵さと容赦ない感じは、ある種「24」のジャック・バウアーを彷彿とさせる。 娘の名前が同じキムなのだが、「24」のキムとは違い、父親の指示を的確にこなし、とても優秀。

家族を救出するという想いはまっすぐだが、自分、娘、元妻と3人が対象のため、前作よりもあちらこちらと大忙し。

前作では短い上映時間が、逆にその強さとスピーディーな展開に拍車をかけ痛快だったが、今回は話が広がる分、物足りなさを感じた。 原題が「taken2」なので、もはや「96時間」というのは関係ないが、もう少しブライアンの猛進ぶりをみていたかった。

また、前作と決定的に異なるのは、敵側の状況。 今回は息子を殺された親の復讐ということもあり、その感情も理解できるので、勧善懲悪だった前作に比べて歯切れが悪い。

復讐の連鎖を断ち切るべく、「もう疲れた。こんなことはもうしたくない」とのブライアンの言葉が、60歳のリーアム・ニーソンにはすごくマッチしていたが、より勧善懲悪で痛快な今後の活躍を期待したい。