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博士の愛した映画

スルース

スルース SLEUTH 上映時間 89分 製作国 アメリカ 公開情報 ハピネット 初公開年月 2008/03/08 ジャンル ミステリー/サスペンス/ドラマ HP 監督:ケネス・ブラナー 出演:マイケル・ケイン ジュード・ロウ

総合:★★ 内容:★★☆ 俳優:★★★ 映像:★☆ 感想:知的・独創的・衝撃的 二人の俳優の演技が存分に楽しめる作品. 物語は,一人の女性を巡って、夫である推理作家の家に,浮気相手の若い男が訪ねてくるところから始まる. そして,お互いのプライドや意地,嫉妬とともに,頭脳戦,心理戦を繰り広げる. 推理作家アンドリュー・ワイク役にマイケル・ケイン, そして浮気相手の男マイロ・ティンドル役にジュード・ロウ. ここのところ,付き添い役や色男役などが多く, 激しい演技をみせていない二人のぶつかり合う演技が見られるのは,ファンならずとも見逃せない. 冒頭から,ちょっとした会話にも関わらず,何か皮肉めいた裏のある言葉のやりとり. 洗練されたデザインのオブジェのある無機質な空間が,より二人の演技や感情を浮き上がらせる. ジュード・ロウの色男ぶりは,女性相手でなくてもとてもセクシー. そして,単なる恋愛映画ではみられない,熱いキレた演技を見せてくれる. しかし,第二幕での演技をはじめ,少々やりすぎで不自然. 対するマイケル・ケイン. 相手を翻弄し,手玉にとる姿は,余裕のある演技がなせる技. 後半でのあられもない姿でのギャップも楽しませてくれる. 本作は,「探偵スルース」のリメイク. オリジナルでは,マイケル・ケインがマイロ・ティンドル役を演じている. オリジナルを見たところ,残念ながらはるかにオリジナルのほうが面白かった. 屋敷の機械仕掛けの人形たちが醸し出すワイクの異常性, マイケル・ケインのマイロの知的さと狂気さを使い分けた余裕ある演技. そして,決定的に違うのはラストまでの展開. オリジナルでは,ゲームに勝ちたいという執念に とらわれてしまった2人の男の狂気が,映画のラストまで余韻を残すほど感じられた. 本作品では,トランス状態のような精神状態の中,何を意図していたのか分かりづらく 唐突に終わってしまう. ジュード・ロウマイケル・ケインの演技は楽しめるものの, ラストまでの展開がオリジナルには及ばない作品でした.