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博士の愛した映画

エリザベス:ゴールデン・エイジ

エリザベス:ゴールデン・エイジ ELIZABETH: THE GOLDEN AGE 上映時間 114分 製作国 イギリス/フランス 公開情報 東宝東和 初公開年月 2008/02/16 ジャンル ドラマ/歴史劇 HP 監督: シェカール・カプール 出演:ケイト・ブランシェット     クライヴ・オーウェン     ジェフリー・ラッシュ

総合:★★★★ 内容:★★★☆ 俳優:★★★★☆ 映像:★★★☆ 感想:切ない・ロマン・興奮する 女王として、女性として、ケイト・ブランシェット演じるエリザベス1世に圧巻された深みある作品。 予告編やCMでは、激しく叫び民衆を率いる強い女王としての印象が強い。 もちろんそういった一面も見せ場の1つではある。 しかし、この映画の見所は、そういった強い女王の裏側にある女王の立場や責任と恋愛に苦悩する1人の女性としてのエリザベスが描かれている点にある。 内外からのしかかる重圧に立ち向かう姿は、雄々しくもあり、時には泣き崩れ痛々しくもあり、 エリザベスの様々な一面をみることができる。 そういった政治の裏側で、女王という肩書きをもつがために、自由に恋愛できないもどかしさ、 相手への不信の念など、女性としての苦しみが感じられました。 侍女のベスをまるで自分に置き換え恋愛を想像するしかない姿がとても切ない。 そして、「死んでもいい…」とつぶやくエリザベスの姿は、思わず胸が張り裂けそうでした。 そのエリザベスは、言うまでもなくケイト・ブランシェットなしには語れません。 彼女の存在感は圧巻を超えて、神々しいほど! 豪華な衣装も見所の1つだけれど、その衣装に負けないほどの風格。 そして、繊細さや嫉妬心など感情的な一面をもった女性としての魅力と悩める姿。 この相反する強さと弱さ2つを兼ね備えて表現できるところが素晴らしいところであり、エリザベスという人間の深みを与えてくれる。 またケイト・ブランシェットの存在感に隠れているものの、個人的にはスコットランド女王メアリー役のサマンサ・モートンも負けないくらいの風格を感じました。 映画全体を通して、「クィーン」でも描かれていた英国女王としての国民への責任や立場、 私的な想いは捨て、国家の母として歩んでいく女王の強さが画面から伝わってきました。 エリザベスを主軸に、敵対する女性、投影する女性など、エリザベスの心情を盛り立てる女性達の役割とそれを演じる女優陣がとても活かされた作品でした。