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博士の愛した映画

ライラの冒険 黄金の羅針盤

ライラの冒険 黄金の羅針盤 THE GOLDEN COMPASS 上映時間 112分 製作国 アメリカ 公開情報 ギャガ=松竹 初公開年月 2008/03/01 ジャンル ファンタジー/アドベンチャー    HP 監督:クリス・ワイツ 出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ     ニコール・キッドマン     ダニエル・クレイグ

総合:★★☆ 内容:★★ 俳優:★★☆ 映像:★★☆ 感想:ロマン・楽しい・独創的 3部作のまさしく導入部分的な作品。 ストーリーは、ファンタジー作品の中でも、RPG的な要素が強く、FFのシドのようなじいさん操る飛空挺に気球、船での旅、出会う仲間達など、ライラの視点で冒険が楽しめる。 世界観や対象年齢は、個人的には「LOTR」と「ナルニア」の中間的な作品という印象。 人の魂がダイモンと呼ばれる動物の形に宿り、常に共に暮らしているという設定、そしてそこに隠された秘密はオリジナリティがあって引き込まれる。 似たようなところでは、日本では「ポケモン」や「デジモン」を思い出すけれど、単に共に闘う存在だけではなく、魂がつながっている設定が、両者の絆をより深めてくれる。 そのダイモンの動物達、そして鎧グマのCG映像は、「ナルニア」のライオン同様、動物の毛並までリアルで、CGであることを忘れてしまうほど。 俳優陣といえば、ニコール・キッドマンは、かわらず美しく、ボディラインを強調したドレスとともにさらに鋭さをもった悪女としての魅惑を放っていました。 けれど、それに負けていないのが、ライラ演じるダコタ・ブルー・リチャーズ。 12歳の子役だけれども、かわいい女の子というよりは、顔立ちはすでにできあがった聡明で綺麗な女性という印象。 初主演とは思えない芯のある堂々とした存在感で、これからが楽しみな女優さんです。 ダニエル・クレイグは出番は少ないものの、役柄は違っても、ワイルドさと渋さは健在でした。 そして、脇役や声の出演では、イアン・マッケランクリストファー・リーら「LOTR」の重鎮が出演しているところも、ファンタジーを盛り上げてくれる。 世界の壮大さを予感させる前半のくだりや世界の秘密、美しい街並みとともに、冒険がはじまるワクワク感は、とても楽しめました。 でも、後半に行くにしたがって、足早に次々と場面が変わり、映像も暗くシンプルになっていくので、「LOTR」ほどの壮大さはなく、全体的に世界観が小さくなってしまった印象。 旅の過程をもうちょっとじっくりと、そしてライラと羅針盤の重要性をもう少しインパクトをもって描いてほしかった。 本作品は、「黄金の羅針盤」、「神秘の短剣」、「琥珀の望遠鏡」の3部作。 物語の世界観やキャラクタを描く導入部分としては充分だけれど、ラストは早く続きがみたいと思わせる終わり方で、何か物足りなさを感じてしまう。 本作で垣間見られた物語の本質には、「ナルニア」同様に、原罪、失楽園、救世主など聖書の要素が感じられた。 今後の作品で描かれる私達の世界も絡めて、どのようにこの本質部分が関わってくるのか気になるところ。 ダコタ・ブルー・リチャーズの成長とともに、今後の作品の成長が楽しみな映画です。