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博士の愛した映画

テラビシアにかける橋

テラビシアにかける橋 BRIDGE TO TERABITHIA 上映時間 95分 製作国 アメリカ 公開情報 東北新社       初公開年月 2008/01/26 ジャンル ファンタジー/アドベンチャー/青春 HP 監督:ガボア・クスポ 出演:ジョシュ・ハッチャーソン     アンナソフィア・ロブ     ズーイー・デシャネル

総合:★★★★☆ 内容:★★★★☆ 俳優:★★★★☆ 映像:★★★★ 感想:泣ける・心温まる・切ない 号泣してしまいました…。 これだけ泣いてしまったのは、未だに夢見がちで精神年齢が子供なのかも?と逆に心配してしまうほどに。 内気で絵を描いて過ごす主人公の少年は、小さな頃の自分のよう。 映画を観ているうちに、感情移入を超えて、いつのまにか主人公自身になりきっていたのかもしれません。 主人公を演じるジョシュ・ハッチャーソンは、控えめながらも中に押し込めた感情や責任感、そして友達を想う気持ちのひたむきな姿が最後にかけて痛烈に胸を打ちました。 小さな頃なら誰しも多かれ少なかれ作ったりする秘密基地、そして自由奔放な近所の女の子の友達。 何もかも自分が少年の頃の憧れといってもいいかもしれない。 その女の子を演じるのは、「チャーリーとチョコレート工場」でブルーベリーになってしまったバイオレット役のアナソフィア・ロブ。 相変わらず男勝りで気が強そうな役だけど嫌みさはなく、活発で芯が強く、そして自分の世界と表現力とを持ったとても魅力的な役柄を爽やかに演じていました。 きっとこんな子いたら、好きになってただろうなぁ。 でも映画では、恋心とはまた違ったかけがえのない友達という微妙な年齢の設定が素敵。 それ以外にもこの年頃の繊細で微妙な心模様が感じられて、子供の頃の想いを思い出させてくれる。 それに加えて、主人公の妹役のベイリー・マディソンがとてもおしゃまでかわいくて、 いろいろな場面で和ませてくれました。 映画の中では、夢や空想より現実を見ろという親たち。 でも単なる現実逃避のためではなく、友達と空想を共有することによって、現実世界でも成長していく主人公達の姿がどんなファンタジーの勇者よりもたくましい。 空想の世界は、一緒に現実の問題や困難を整理し消化していくために子供にとって重要な場所であり、それを共有し共感できる友達というものはかけがえのないものということがこの映画を通して伝わってきました。 その空想の世界もところどころ「ナルニア」のようなファンタジー要素の映像が出てくるけれど、ファンタジーどっぷりというわけではなく、観ている人の想像力をかき立てるバランスのよさ。 「パンズ・ラビリンス」といい、現実とファンタジーの間くらいが一番いいのかも。 欲を言えば、最後にもう一度…。 ストーリー自体はいたってシンプルで時間も短いけれど、その分少年達の繊細な感情がそのまま描かれていました。 忙しい毎日で忘れかけていた人も少年少女だった頃の気持ちを蘇らせてくれる、そして心と瞳に潤いを与えてくれるお薦めの映画です。