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博士の愛した映画

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師


スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 ★★★ SWEENEY TODD: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET 上映時間 117分     監督:ティム・バートン 製作国 アメリカ      出演:ジョニー・デップ 公開情報 ワーナー       ヘレナ・ボナム=カーター 初公開年月 2008/01/19    アラン・リックマン ジャンル サスペンス/犯罪/ミュージカル http://wwws.warnerbros.co.jp/sweenytodd 内容:★★☆ 俳優:★★★ 映像:★★★☆ 感想:切ない・悲しい・独創的 実にティム・バートンらしい作品。 くら~い死人のような世界に、血、そして死体。 一歩行きすぎると悪趣味になりそうな感じだけれど、ブラックなコメディ要素もあって、そのバランスが絶妙。 やっぱりこういう世界観が一番彼らしい。 ただ、暗い世界観でもどちらかというと「スリーピー・ホロウ」的な現実路線なので、「ナイトメア~」や「コープス・ブライド」や「ビートル・ジュース」みたいな特異なクリーチャーなどがでてこないのはちょっと残念。 個人的には、空想の中の原色で描かれる明るいおかしな世界観がもっとみたかったなぁ。 暗い世界感に色濃く一番映えていたのが、吹き出す血の色。 血が苦手な人は、あらかじめ覚悟していったほうがいいかも。 でも、ただ血がドバドバと一様に吹き出すだけでなく、血の吹き出す様も心情を表しているかのように、殺される人によって違った演出されているところが心憎い。 そして、それがまたもの悲しさを誘う。 そして一番の注目と言えば、ジョニー・デップの歌声。 甘い声と唸る声が印象的でしたが、ミュージカル調できれいに歌うというよりは、 役者として演じる延長での歌という感じでした。 歌うことに気をとられてか?ジョニー・デップっぽいキャラクターにひと味追加したさじ加減が あまりみられなかったのがちょっと残念。 どんな悪役ぶりを魅せてくれるかと期待していたアラン・リックマン。 歌声はいいのだけれど、期待に反して悪役ぶりがちょっと物足りなかったかな。 一番よかったのは、ヘレナ・ボナム=カーター。 スウィーニー・トッドを支え、自分の夢を語る女性としての一面と、暗い世の中で図太く生きていく強さを持ち、夫であるティムの世界を一緒に作りあげていました。 全体的に主要キャラクターよりは、サブキャラクターが本格的に美声で歌い上げてミュージカルっぽさを補っているなぁという印象でした。 ストーリーは、元が舞台なので世界があまり広くなく、ミュージカルなので展開も遅い。 しかし、ラストにかけての復讐劇のもたらす結末はみもの。 特にラストシーンは、とても切なく美しい。 ティム・バートンはこのラストシーンの映像が撮りたくて映画化したんだろうなぁと思わずにいられない。 ラストシーンを描いたポスターがあったら欲しいくらいとても印象に残る結末の作品でした。