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博士の愛した映画

ジェシー・ジェームズの暗殺


ジェシー・ジェームズの暗殺 ★★★☆  THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD 上映時間 160分     監督:アンドリュー・ドミニク 製作国 アメリカ     出演:ブラッド・ピット 公開情報 ワーナー       ケイシー・アフレック 初公開年月 2008/01/12    サム・シェパード ジャンル ドラマ/西部劇/アクション http://wwws.warnerbros.co.jp/assassinationofjessejames/ 内容:★★★☆ 俳優:★★★★ 映像:★★★ 感想:衝撃的・悲しい・切ない 暗殺された者と暗殺した者を通して、いかにジェシー・ジェームズがアメリカの民衆に愛されていたのかを初めて知ることができた作品。 原題は「THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD」とあるとおり、ジェシー・ジェームズだけではなく、彼を暗殺し卑怯者呼ばわりされたロバート・フォードの物語。 義賊としてすでに有名になるも、長く続く逃亡生活の中、誰も信用できない孤独感、 疲れや苛立ちが終始画面から重くのしかかってきました。 そのジェシー・ジェームズをブラッド・ピットが存在感とカリスマ性を放ち、映画全般に渡っていつ暴発してもおかしくないような緊張感を与えてくれる。 そこには、単なる義賊のヒーローというのではなく、周りがついていけない残酷さや自分を制御できない悲しみなど人間としての一面が色濃くでていました。 個人的には、ジェシーの兄フランク・ジェームズに人格者なところを感じました。 義賊と呼ばれたのは、この兄ありきなんではないかという気も…。 しかし、どちらかというとこの映画の主人公はロバート・フォードかもしれない。 小さな頃からジェームズ兄弟に憧れ、彼に認められたい、彼のようになりたい、そして彼を超えたいと内に強く秘めるロバート・フォードをケイシー・アフレックが妖しく演じてました。 ジェシー・ジェームズを見つめ続ける彼の目がとても印象的。 憧れと現実とのギャップ、いつまでも周りから子供扱いされる悔しさ、その中なんとか野望を叶えようとするも、手に負えなくなり自らをも破滅へと導いてしまうという予想外の現実。 若さゆえの浅はかさや徳のなさ、人間としての器の小ささや身の程というものがあるものだと つくづく考えさせられてしまいました。 予想外だったのは、ジェシー・ジェームズ暗殺後のロバート・フォードの物語も描かれている点。 栄誉やお金を得たくて暗殺したのに、皮肉にも暗殺されたことによってさらに伝説の人物となったジェシー・ジェームズとの対比が、この2人の違いをより際だたせてくれました。 ただ160分と長いため、じっくりと静かに重く描かれていくので、前半から中盤にかけて少々疲れてしまうところも。 カリスマとしての孤独感や閉塞感、周囲でうごめく野望や憧れ、嫉妬や畏怖の念など、西部劇というよりは、ギャング映画のような男達の骨太の映画でした。