Dr.Cinema

博士の愛した映画

スーサイド・ショップ

「髪結いの亭主」「仕立て屋の恋」のパトリス・ルコントが挑んだ3Dアニメ作品。

街を覆う負のエネルギー

冒頭、次々と人々が自殺をしていき、最後にはそれをみていたハトまで自殺してしまう。

不景気や自殺願望など世の中の負のエネルギーは、社会に伝播していくことを感じさせる。

あまりに自殺者が多いので、表だって自殺をすると罰金を取れられる世知辛い世の中。

自殺支援グッズの数々

そんな中、主人公たちが経営するのが、先祖代々から伝わる自殺支援グッズショップ。

自殺支援グッズは、縄、毒、ガス、重り、ピストル、刀などなどジャンルも商品もありとあらゆる品揃え。

改めて自殺方法って、こんなにあるのかと驚かされる。

その中でも特に印象的なのが、店主おすすめの刀による「セップク」。

店主の名前が「ミシマ」なのは、三島由紀夫に由来しているのかも。

日本の自殺者の多さと、自決の文化が見え隠れする。

責任と良心の呵責

そんな彼らも、死に憧れをもちつつ、自分たちは死ねないという信念。

それは「自殺をしたいお客様のため我々は死ねない」というところに、先祖代々から受け継がれてきたプロフェッショナルな一面を感じる。

しかし、そんな彼らも儲かって仕方なくて喜んでいるのかと思いきや、実は死を支援することに良心の呵責に苛まされているところに、人間味を感じさせてくれる。

負のエネルギーを吹き飛ばす歌

そして、この作品で最も印象的なのは歌。

ミュージカル映画ということもあり、彼らの心情の変化を伝えるとともに、店の自殺グッズと同様に 街を覆いつくす負のエネルギーを吹き飛ばしてくれる。

音楽や歌、おいしい食事、そして笑顔の重要性を、反面的に教えてくれる映画でした。

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