劇場版 ATARU‐THE FIRST LOVE & THE LAST KILL‐
罪深き大人は、罰せられなければならない
ドラマ版は、蝦名の家族の物語。
スペシャル版は、アタルの家族の物語。
そして、本劇場版は、マドカの家族・恋人=アタルの物語かもしれない。
堀北真希の悪役ぶり
マドカを演じる堀北真希。 かわいい顔に不気味な銀歯。
「踊る大捜査線 THE MOVIE」の小泉今日子演じる日向真奈美を彷彿とさせる。
最近では、「脳男」の二階堂ふみ演じる緑川紀尚が印象的だったが、そこまで猟奇的で狂気じみた感じではなくスマートな印象。
もう少し狂気じみた一面をみてみたかった。
容疑者アタル
前半、アタルが容疑者として疑われる。
見ている側としてはアタルが犯人なわけはないことが分かっているので物足りない。
犯人と決めつける女性管理監・星。
そんな中でも一途に信じ続ける蝦名、しかたなくも逮捕する沢、やはりと思う他の刑事たち。
立場の違いによって、アタルへの疑いの念の違いが出ていて、面白かった。
しかし、25年間もアタルを見てきたラリーが疑っていたのは、少しショック。
彼は、能力の部分しかみていなかったのかもしれない。
小ネタと海外ロケ
テレビ版に続いて、小ネタも満載。
テレビ版でも登場していたSPEC当麻と瀬文風の2人、コドモ警察、矢部謙三、ホヤぼーやなどのゆるキャラ、佐藤蛾次郎の源公などなど。
スペシャル版ではいなくなっていた光宗薫演じる石川唯もカムバックし、島崎遥香演じる美魔女流美との争いも花を添える。
テレビドラマが劇場版になった際に、スケールの大きさを示すために行われる海外ロケ。
本作では、アタルとマドカの設定にも絡んできているが、他の作品同様、必ずしもラスベガスやLAである必要はないように感じた。
能力と心
ドラマ版では、絶対音感やスライダーなど凄い能力だが、限度を超して日常生活が送れず、それに苦しむ人々が多く描かれていた。
そして、アタルの能力もその最たるもの。
アタルと同じような能力を持ちながらも、犯罪に手を染めたマドカ。
その違いは、心の成長の差。 そして、心を伸ばしてくれる存在の有無。
大人の勝手な言い分で、愛する人から引き離される悲しみ、苦しみとともに育ったマドカ。
彼女の過去の人生や苦悩について、もう少し詳しく見てみたかった。
一方で、マドカのような危険性をもったアタルを、正しい道へと心の成長を担ってきた舞子や沢や家族の存在を改めて感じさせてくれる。
能力と心、どちらもバランスよく伸ばさなければ、いびつな人間になってしまうということを感じさせてくれる映画でした。
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