大統領の料理人
ストーリー
ミッテラン大統領のプライベート・シェフに大抜擢された女性シェフ、オルタンス・ラボリの物語。
意外な物語のはじまり
物語は、予想外の南極から始まる。
彼女はなぜ南極にいるのか?
南極料理人としての現在と、大統領の料理人だった過去を織り交ぜながら、物語は進む。
「手の込んだものではなく、おふくろの味が食べたい!」という大統領に招集されたオルタンス。
ジョエル・ロブションの紹介というところに、フランスでの実力を感じさせてくれる。
フランス人のおふくろの味
彼女の代名詞が、「トリュフ」を使った料理。
彼女が作る料理は、フランス料理の繊細でお上品なイメージとは違い、よだれが出て思わずつまみぐいしてしまいそう。
日本の料理映画では、自然食でローカロリーなものが比較的多い中、フランスのお袋の料理は、がっつり系で見ていてお腹がすいてくる。
立ちはだかる壁
大統領の料理を作るという職責を奪われた主厨房との軋轢。
そして、経費の問題、高齢の大統領の健康上の問題など色々と立ちはだかる壁。
大統領という絶対の権力に守ってもらっているものの、男性社会で敵が多い完全アウェイな状況の中、1人女性が乗り込んでいく姿が勇ましい。
オルタンスを気遣う大統領
食べたい料理も食べられない大統領。 しかし、大統領自身はそれを知った上で、 「周りにいじめられているようだね。自分もだよ。」 と彼女に声をかけ、「逆境は人生のとうがらし」と励ます大統領がとても魅力的。
そんな自分を気遣ってくれる大統領に、彼を満足させる自分の納得のいく料理を食べさせられないオルタンスのジレンマが伝わってくる。
エリゼ宮と南極
食材も限られた厳しい辺境の南極と、どんな食材も手に入れようと思えば手に入るエリゼ宮。
そんなエリゼ宮で傷つき、南極で本当に必要としている人たちにおいしい料理を提供し、人々の温かい感謝に癒されるのは、とても皮肉な現実。
南極という場所で癒され、厳しい環境、限られた食材の中で、精神的にも実力的にもたくましくなった彼女の今後の活躍に元気をもらえる。
食べたいものを食べられる喜び、食べたい人に食べたいものを料理できる喜びを感じられる作品でした。
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