アップサイドダウン 重力の恋人
愛は,重力に勝てるのか?
二重引力の世界
上下2つの世界と2つの重力が存在する二重引力の世界.
それぞれの世界にある物はそれぞれの重力によって支配され,他の世界の物にふれると,引火してしまうという設定がとてもユニーク.
この二重引力の設定は,SFものとして色々と展開できそう.
ラブストーリー
しかし,この作品のテーマは,前置きやラストでも語られるように,2つの世界でおきる革命的な話ではなく,アダムとエデンのラブストーリー.
富裕層の世界で暮らすエデンと,貧困層の世界で暮らすアダム. もうすぐ公開される「エリジウム」しかり,貧富の二極化というものが,世相を反映しているのかもしれない.
ベースとなるラブストーリーは,2つの異なる世界の2人が出会い,愛し合うも引き裂かれてしまうという,ロミオとジュリエットのように普遍的なもの.
アダムとエデン
主人公アダムを演じるジム・スタージェスは,「アクロス・ザ・ユニバース」「ワン・デイ 23年のラブストーリー 」「クラウド アトラス」など設定や映像表現が特殊なラブストーリーものが多いけれど,今回はその際たるもの.
エデンを演じるキルスティン・ダンストは,最近「メランコリア」「オン・ザ・ロード」と落ち着いたドラマで熱演し,若いころから活躍していることもあり,ヒロインの初々しさというよりは,悩める姿のほうが魅力的.
二重引力の映像美
本作の見所は,なんといっても二重引力の映像表現.
最近では,「インセプション」の夢の中で折りたたまれていく街や回転するホテル内の映像が斬新だったが,本作も負けていない.
2つの世界が交わる「トランスワールド社内のオフィスの人々,アダムがエデンの世界に重力を超えて忍び込む姿や,エデンとともに2つの世界の狭間を逃げ惑う姿はとても新鮮で,二重引力の世界を楽しめる.
その世界を見ながら,思わず「天井も有効活用できていいよね」とか,「アダムは,頭に血が上らないのかなぁ」とか色々と考えてしまう.
ラストへの展開
しかし,ラストにかけては,革命的な発見とともに,やや唐突に終わってしまうのが残念.
設定や映像がよくできているだけに,ラブストーリーに絞ったところがよくもあり,もったいなくもある.
二重引力だけに,この2つの世界に興味が引かれる作品でした.
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