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博士の愛した映画

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー CHARLIE WILSON'S WAR 上映時間 101分 製作国 アメリカ 公開情報 東宝東和 初公開年月 2008/05/17 ジャンル コメディ/ドラマ HP 監督:マイク・ニコルズ 出演:トム・ハンクス ジュリア・ロバーツ フィリップ・シーモア・ホフマン エイミー・アダムス

総合:★★★ 内容:★★★ 俳優:★★★☆ 映像:★★☆ 感想:知的・独創的・悲しい 歴史の皮肉を感じさせる映画. 下院議員チャーリー・ウィルソンが,アフガニスタンに侵攻したソ連を退却へ追い込んだ重要な役割を果たしていたという衝撃の事実を描いた作品. おすすめ映画 冒頭から,冷戦下でのアメリカの打倒ソ連,反共産主義の思いが色濃く感じられる. そんな冷戦下でも,美女とお酒を愛し,一見お気楽な議員チャーリー・ウィルソン. しかし,議員達に貸しを作り,予算を自由に操れてしまう影の実力者.   映画を通して,とっつきやすさや人を巻き込む魅力を持った,ちょっとくせのある人物なのだろうと感じさせてくれる. ただ,テレビにかじりつくほど,アフガニスタンに興味を持った経緯が今ひとつわからなかったのが残念. そのチャーリーを演じるトム・ハンクスは,彼のお気楽な部分と,現場の状況を知り鬼気迫る姿をうまく演じ分けている. おすすめ映画 チャーリーを動かす富豪ジョアン・ヘリングを演じるジュリア・ロバーツ. 敬虔なクリスチャンで,思いを貫く堂々とした強い女性の役柄は,ちょっと嫌みがあるくらいの存在感. CIA職員ガストを演じるフィリップ・シーモア・ホフマン. CIAのイメージからはかけ離れた風貌だが,いろんな意味でキレ者. 彼の演技は,知的さと粗野な中にも憎めない部分がとても素敵. 彼らの努力による戦争の経過がダイジェスト的に流れるが,主に対ソ連しか描かれていない. これによりアフガニスタンの人々がどう変わっていったのかを描いて欲しかった. 「いずれわかる」というガストの逸話,そして「最後にしくじってしまった.」というチャーリーの言葉こそが,この映画の本質といっても過言ではない. チャーリーの授賞式での微妙な表情が印象的. おすすめ映画 単にしくじったというには,あまりにもひどいその後の歴史.アフガニスタンのためではなく,ソ連打倒,自国のことしか考えていなかったアメリカへの思わぬしっぺ返し. 表向きは輝かしい功績を描きながら,裏では自戒の念が感じられた作品でした.