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ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛

ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛 THE CHRONICLES OF NARNIA: PRINCE CASPIAN 上映時間 150分 製作国 アメリカ 公開情報 ディズニー 初公開年月 2008/05/21 ジャンル ファンタジー/アドベンチャー HP 監督:アンドリュー・アダムソン 出演:ウィリアム・モーズリー アナ・ポップルウェル ベン・バーンズ

総合:★★☆ 内容:★★☆ 俳優:★★☆ 映像:★★★ 感想:楽しい・興奮する・ロマン 兄弟姉妹の成長と心の葛藤が感じられる作品. 前作から1300年後、滅亡の危機に陥ったナルニア国を舞台に、カスピアン王子と4人の兄弟姉妹の冒険が再び描かれる. 敵が人間であることもあり,前作に比べファンタジー色は薄く,アクション色が強い. リープチープやトリュフハンターが,ナルニアの世界観を醸しだしているが,前作のタムナスほどのインパクトはない. 荘厳な景色は美しいものの,ファンタジー色の荒廃したナルニアの世界はもの悲しく寂しい. ナルニアでの大人としての経験と現実世界では子供であるギャップ, 大人に背伸びしたい気持ちや淡い恋心など,兄弟姉妹達の心の葛藤が描かれる. 最も色濃くうけるのが,長男ピーター. 前作の凛々しい姿とは違い,怒りと不満をつのらせ,半ば悪に手を染めそうなあやうさが意外な展開. 長女スーザンは,弓矢の名手として活躍をみせるものの,美形のカスピアン王子とのロマンスは,今ひとつ不釣り合いな印象. 最も成長が感じられたのは,次男エドモンド. ピーターを支え,白い魔女との因縁もきっぱりはね除ける強さは,過去の過ちからの成長を感じさせる. 次女ルーシーは,アスランを信じ続ける心やナルニア人を愛する心が健気. 「タムナスさん達にもう会えない」という言葉に,思わず切なくなる. その一方で,兄弟達に意見する成長ぶりも. 注目のカスピアン王子は,人間的にもまだ未熟で,意外に見せ場もなく,その魅力もいまいち. 次回作に期待したい. 全体的に,ピーターとカスピアンの二人の視点や意見がぶつかり合い,内容も混迷している印象が強い. そんな中でアスランの登場は,ナルニア絶対神として,安心感を与えてくれる. 兄弟姉妹達の成長を見守り,時に手助けをしてくれる頼りがいのある父のように. シリーズ物として悩まされがちな子役の成長を逆に活かし,兄弟姉妹の心の成長,そして大人への旅経ちという人間的な側面が描かれた作品でした.