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博士の愛した映画

ダージリン急行

ダージリン急行 THE DARJEELING LIMITED 上映時間 91分 製作国 アメリカ 公開情報 FOX 初公開年月 2008/03/08 ジャンル ドラマ/コメディ HP 監督:ウェス・アンダーソン 出演:オーウェン・ウィルソン    エイドリアン・ブロディ    ジェイソン・シュワルツマン

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総合:★★★ 内容:★★★ 俳優:★★★ 映像:★★★ 感想:心温まる・楽しい・笑える 人生という旅は、快適な急行列車での旅ばかりとは限らない。 父の死をきっかけに疎遠となっていた3兄弟が、インドでの旅を通して絆を取り戻そうと繰り広げる珍道中。 相変わらずハチャメチャでゆるい雰囲気の中、映画のあちこちに何か家族や人生を象徴した何か隠喩めいた要素が散りばめられている。 それは、大きなかばんであったり、車であったり、父親の存在というものが、形を変えて3兄弟に大きな存在として描かれているのが印象的。 父親の形見の車を3人で押しながら走ろうとする姿は、思わず「リトル・ミス・サンシャイン」の黄色いワゴンと家族を思い出してしまいました。 ダージリン急行での様々な出来事は、3人の人生や心の状況と重なって思わず笑ってしまう。 ただ兄弟や家族の問題を重くとらえるのではなく、そういった数々の要素をうまく取り込みつつ、笑いも織り交ぜながら独特の空気感で描かれる世界は、まさしくウェス・アンダーソンの世界。 ただ同じ3兄弟や家族を描いた作品でも「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ 」ほどの個性的なキャラクターではなかったのは、ちょっと残念。 3人の抱えている問題も会話で描かれるだけなので、どうも他人事のように感じられてしまう。 そういった意味では、唯一「ホテル・シュヴァリエ」として背景が描かれている三男ジャックの言葉には、重みがありました。 本作で特に注目なのは、エイドリアン・ブロディ。 3兄弟の特徴的なデカ鼻はもとより、あのやせ細ったひょろひょろの体が頼りない感じでなんだか笑える。 意外にコメディにハマッていて、今までの彼の役柄とは違った新たな一面を見せてくれました。 もちろん3兄弟の長男役のオーウェン・ウィルソンを始め、アンジェリカ・ヒューストンビル・マーレイ、クマール・パラーナなどのウェス・アンダーソン作品おなじみのキャストも出ているところもうれしいところ。 彼らに大きくのしかかっていた父親の存在や死を、兄弟で乗り越えて、新たな人生を歩んでいこうとする姿は、さわやかで元気にさせてくれる。 無駄なようでも時には迷子になろうと、追い出されようと、寄り道しようと、それが人生や人間関係を変えるきっかけになりえることを感じさせてくれる作品でした。