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博士の愛した映画

華麗なるギャツビー

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バズ・ラーマンが描く「ジャズ・エイジ」の華やかな映像美、その裏でもがく男の欲望と切なさが見所の作品。

「ロミオ+ジュリエット」でディカプリオの見せ方を熟知しているバズ・ラーマン監督だけあって、ギャツビーの登場シーンは思わず拍手したくなるほど。 他の男の妻となってしまった女性に焦がれる、今回もある意味「禁じられた愛」。

J・ギャツビーを演じるレオナルド・ディカプリオ。 謎の男、大富豪、最愛の人の前でのお茶目な姿、J・ギャツビーの様々な側面を演じ分ける。 やはり一番の見所は、思わずみせてしまうギャッツとしての一面。 そこには「ロミオ+ジュリエット」の少年にはなかった、重さと気迫が感じられた。

ストーリー・テラーとして観客とギャツビーをつなぐニックを演じるトビー・マグワイア。 アメリカンドリームを夢見ながらも染まらず、どこか冷めていて客観的なニックは、トビー・マグワイアのひょうひょうとした雰囲気にぴったり。 しかし、ギャツビーを友人として想う際に見せた剣幕が印象的。 プライベートでも親友で、オファーを受けたときは、映画と同じくディカプリオの隣に住んでいたというから驚き。

バズ・ラーマン作品といえば、やはり華やかな映像と衣装と音楽。

ジャズ・エイジ」を代表する華やかなパーティーシーンは、3Dによってバズラーマンの世界をより華やかに魅せてくれる。 そして、本作の象徴的な「桟橋の緑の灯り」がより際立って見えた。

デイジーを演じるキャリー・マリガンがまとう衣装は、ティファニープラダミュウミュウと豪華。 しかし、いやらしさを感じさせない彼女の気品と柔らかさが素敵。

ジャズ・エイジ」のジャズに対して、現代のヒップホップをとりいれ、ジェイ・Zが演出する20年代風にアレンジした音楽がその世界をより輝かせていた。

「希望を見いだす力」ですべてを手に入れてきたギャツビー。 今の彼女を手に入れるだけでなく、過去までを含めた彼女のすべてを手に入れたいという欲望。

彼にとってデイジーは、1人の女性として恋愛の対象だったのか? それとも唯一手にいれることができなかった単なる障害だったのか?

手に入れられないからこそ、理想が膨らみ、幻想、そして希望そして成功の象徴へ。 彼女を信じていたというより、自分自身を信じていたのかもしれない。 すべてを信じて手に入れてきたギャツビーだからこそ、信じて待つ姿がとても切なく痛々しい。

見終わった後に、J・ギャツビーという存在に、ニック同様にGREATと書き綴りたくなる作品でした。 [cft format="0"]