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博士の愛した映画

マン・オブ・スティール

元祖スーパーヒーローへの本気と愛

元祖スーパーヒーロー、アメリカの本気と愛が感じられる作品。

これでもかというほどの迫力の映像の連続に、圧倒されっぱなし。 ある意味「ドラゴンボールサイヤ人編に似ているが、適当に実写映像化されたものとは、力の入れ具合の差は歴然。

美しい破滅への道

まずは、冒頭のクリプトン星。

「スーパーマン」では、白を基調としたシンプルな惑星だったが、空を飛ぶ生き物や赤ちゃんが育つ水中など豊かな描写。

そして、まるでクライマックスかのような父親ジョー=エルの活躍とクリプトン星の崩壊に期待が上がる。

ストーリー

ストーリーは、「スーパーマン」「スーパーマンII 冒険篇」を合わせた内容に近い。

「スーパーマン リターンズ」でレックス・ルーサーが登場していただけに、趣向を変えて悪役をゾッド将軍にしたのは正解かもしれない。

それにより、アクション・ヒーロー要素より、宇宙を巻き込んだSF要素が強くなっていた気がする。

選択と苦悩

しかし、今までのスーパーマンと違うのは、人間のように悩み苦しみ、自分の使命、とるべき「選択」に悩む姿。

スーパーマンといえども、力は強くても、心は人間のように未成熟なのだ。

人を助けたいという想い、自分の力を発揮できないジレンマ、正体を明かせない苦しみ。

それに伴う代償。

クリプトン星か、地球。人類か、同胞か。

どちらにも不信の念を抱きながらも、信じることに賭けた選択。

「選択」という希望がある反面、それがもたらす苦悩と心の叫びが伝わってくる。

順を追って成長が描かれるのではなく、現在のクラーク・ケントの苦悩とリンクするように、苦しみながら成長してきた過程が描かれる。

2人の父親

その力から、ヒーローにも化け物にもなり得る息子を導くのは、産みの親ジョー=エルを演じるラッセル・クロウ、育ての親ジョナサン・ケントを演じるケヴィン・コスナー

この2人が実に渋くてかっこいい!。

我が子を想い自分を犠牲にして、息子を正しい道へと導こうとする姿に、ウルッとさせられる。

悪役のゾッド将軍たちも、単なる悪役というだけでなく、クリプトン星人を守るという役割を決められて生まれ、クリプトン星人のことを想い、生きがいを持って生きてきた信念と選択を与えられなかった悲しさを感じさせてくれる。

ヒーローとヒロイン

他のヒーローものに比べ、比較的無名の俳優が抜擢されるスーパーマン

主演のヘンリー・カヴィルは、クリストファー・リーヴの上品さに比べ、スーツを着ていないこともあり、ワイルドさが目立つ。

そして、ロイス役を演じるエイミー・アダムスは、かよわいヒロインというより、危険な場所にも乗り込んでいくようなジャーナリストとしての一面がとても力強い。

旧シリーズとの比較

しかし、慣れ親しんだドジで三枚目のクラーク・ケント、シャツを開いての変身シーン、恋人とのロマンティックな空の旅もない。

音楽もジョン・ウィリアムズではなくハンズ・ジマーが担当しており、おなじみのテーマ曲が流れないのは、今までのスーパーマンを知る人にとっては少し寂しい。

しかし、クリプトナイトだけではなく、より人間らしい心という弱点を持った新たなスーパーマンとそのスーパーな映像には今後も期待したい。

次作への期待

次作は、ベン・アフレック演じるバットマンとの共演になるとのこと。

ダークナイト」シリーズで、あれだけ現実的なバットマンが構築されたが、人間であるバットマンがこれだけの超人とどう渡り合えるのか気になるところ。

アベンジャーズには神がいるので、それよりは能力に差はないので、ジャスティス・リーグまで突き進んでもらいたい。

今後も、より深くより派手に人類の希望の光を照らしてほしい作品です。

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