Dr.Cinema

博士の愛した映画

コズモポリス

もし自分が,相場をはじめ,この世の自然の摂理をすべて予見できるとしたら?

それは,未来を知った上で生きているのに等しく,つまらない出来事の連続だろう.

性におぼれても,満たされない衝動. そして,それが破滅への道とわかっていたとしても,主人公の刺激を求める気持ちは共感できる.

なにかしら法則に縛られて生きている閉塞感. 突然何かが狂い始めたと知った時,はじめて自由と解放された気分を味わい, 生きている実感が得られる様は,とても華々しく,そして痛々しい.

主人公を演じるのは,トワイライトシリーズでおなじみのロバート・パティンソン. 何か暗い闇を背負っているが品ある佇まいがとてもよく似合う.

主人公が破滅への道に向かう中,次々と現れては知的で哲学的な内容を語っていく実力派俳優達が1つの見所. その内容は,個人的には消化不足ぎみ. しかし,映画全般を通じて,車や室内などのシーンが多いので,やや単調でもある.

この世の中が不完全だからこそ,生きている実感を味わえるということを教えてくれる作品でした.